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【コラム】「食品防御」と「食品偽装」は、似て非なるもの 〜FSSC 22000が求める“2つのリスク対応”を正しく理解する〜

Date:2025.05.09

こんにちは。食品安全コンサルタントの山田です。

FSSC 22000の対応をご支援していると、現場の方から「食品防御と食品偽装って、似てるようで何が違うのかピンとこない」という声をよくいただきます。

 

確かにどちらも意図的なリスクに関わるもので、従来のHACCPや品質管理とは少し毛色が違います。

しかし、この2つは目的も手口も、そして対策もまったく異なるということを、あらためて整理しておきたいと思います。

 

 

 

 

■ 食品防御(Food Defense)とは?

 

 

簡単に言えば、外部または内部の「悪意ある人物」による食品への危害行為を防ぐ仕組みです。

 

  • 例:工場に侵入して薬品を混入する
  • 例:従業員が報復目的で異物を投入する

 

 

いわゆる「食品テロ」や「内部破壊行為」が対象となります。

食品を意図的に汚染・改ざんしようとする行為から守るのが、食品防御の役割です。

 

 

 

 

■ 食品偽装(Food Fraud)とは?

 

 

こちらは、経済的利益を目的とした「意図的な不正行為」が対象です。

「安いものを高く見せる」「産地を偽る」「品質の悪い原料を混ぜる」など、いわば食品に関する詐欺行為です。

 

  • 例:安価な輸入牛肉を「国産黒毛和牛」と表示して販売
  • 例:バニラ香料の一部を合成品にすり替える

 

 

動機は金儲け、手口はごまかし、そしてバレると信用失墜です。

 

 

 

 

■ 比較してみると?

 

分類

食品防御(Food Defense)

食品偽装(Food Fraud)

主な目的  

故意の危害行為の防止

故意の経済的不正の防止

動機

破壊・報復・嫌がらせ

金銭的利益

工場への侵入・異物混入

産地偽装・原料のすり替え

防止策

出入口管理、監視、教育

仕入先評価、脆弱性分析、証拠管理  

対象

製造現場・倉庫など

原材料・供給網全体

 

 

 

 

■ FSSCでの対応ポイント

 

 

FSSC 22000では、これら2つを別々のリスクカテゴリーとして管理することが求められています。

 

 

▶ 食品防御に対しては…

 

 

  • 防犯カメラや入退室管理など、物理的・人的な対策
  • 内部犯行の予防として、職場内コミュニケーションや通報体制の整備
  • 定期的な「防御計画」の見直しと訓練

 

 

 

▶ 食品偽装に対しては…

 

 

  • 原料やサプライヤーに関する脆弱性評価(Vulnerability Assessment)
  • 業界内で発生している不正情報の収集と対応策の文書化
  • ラベルや規格書との整合性確認

 

 

 

 

 

■ 現場での勘違いにご注意

 

 

どちらも「意図的な問題」なので混同しがちですが、

食品防御は外からの攻撃を防ぐ視点、食品偽装は中からのズルを見抜く視点です。

 

誤って「どっちも監視カメラでいいでしょ」とまとめてしまうと、十分な対策が取れなくなるリスクがあります。

 

 

 

 

■ まとめ

 

 

FSSC 22000は、単なる製造上のリスクだけでなく、意図的・悪質なリスクへの対応も求めています。

食品防御と食品偽装は、いわば守るべきものと見抜くべきもの。

 

見えないリスクにどう備えるか。

それこそが、現代の食品安全マネジメントの真価とも言えるのではないでしょうか。

 

 

 

ご希望があれば、実際の「食品防御計画」や「食品偽装リスク評価」のフォーマット例もご提供可能です。ご相談はお気軽にどうぞ。

 

 

 

 

■ 食品偽装(Food Fraud)とは?

 

 

こちらは、**経済的利益を目的とした「意図的な不正行為」**が対象です。

「安いものを高く見せる」「産地を偽る」「品質の悪い原料を混ぜる」など、いわば食品に関する詐欺行為です。

 

  • 例:安価な輸入牛肉を「国産黒毛和牛」と表示して販売
  • 例:バニラ香料の一部を合成品にすり替える

 

 

動機は金儲け、手口はごまかし、そしてバレると信用失墜です。

 

 

 

 

■ 比較してみると?

 

分類

食品防御(Food Defense)

食品偽装(Food Fraud)

主な目的

故意の危害行為の防止

故意の経済的不正の防止

動機

破壊・報復・嫌がらせ

金銭的利益

工場への侵入・異物混入

産地偽装・原料のすり替え

防止策

出入口管理、監視、教育

仕入先評価、脆弱性分析、証拠管理

対象

製造現場・倉庫など

原材料・供給網全体

 

 

 

 

■ FSSCでの対応ポイント

 

 

FSSC 22000では、これら2つを別々のリスクカテゴリーとして管理することが求められています。

 

 

▶ 食品防御に対しては…

 

 

  • 防犯カメラや入退室管理など、物理的・人的な対策
  • 内部犯行の予防として、職場内コミュニケーションや通報体制の整備
  • 定期的な「防御計画」の見直しと訓練

 

 

 

▶ 食品偽装に対しては…

 

 

  • 原料やサプライヤーに関する脆弱性評価(Vulnerability Assessment)
  • 業界内で発生している不正情報の収集と対応策の文書化
  • ラベルや規格書との整合性確認

 

 

 

 

 

■ 現場での勘違いにご注意

 

 

どちらも「意図的な問題」なので混同しがちですが、

食品防御は攻撃を防ぐ視点、食品偽装はズルを見抜く視点です。

 

誤って「どっちも監視カメラでいいでしょ」とまとめてしまうと、十分な対策が取れなくなるリスクがあります。

 

 

 

 

■ まとめ

 

 

FSSC 22000は、単なる製造上のリスクだけでなく、意図的・悪質なリスクへの対応も求めています。

食品防御と食品偽装は、いわば守るべきものと見抜くべきもの。

 

見えないリスクにどう備えるか。

それこそが、現代の食品安全マネジメントの真価とも言えるのではないでしょうか。

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