Date:2025.05.03
こんにちは。食品安全コンサルタントの山田です。
今日はちょっと真面目な話…のようで、実は職場あるあるでもある「文化」のお話です。
FSSC 22000では、2023年のバージョン6から「食品安全文化」と「品質文化」の構築・維持が求められるようになりました。え、文化?急にスケール大きくない?と思った方、ご安心を。ちゃんと現場レベルの話です。
…ではありません(笑)
ここでいう文化とは、「その職場で当たり前になっている考え方や行動」のこと。
たとえば、「手洗いはきっちり30秒やるのが当たり前」「異物を見つけたらすぐ上司に報告する」「記録はその場でつける」など。
逆に、「このくらいなら大丈夫っしょ」「誰かが気づくだろう」といった“ゆるみ”が習慣化していると、それが“悪い文化”になってしまうわけです。
FSSC 22000 Ver.6では、以下のような要素がポイントになります。
リーダーシップの関与:部長が「うちの品質はピカイチ!」と言うだけじゃダメ。日頃の行動で見せる。
コミュニケーション:食品安全の話が“品質会議の最後の5分”じゃなく、“日常の中”にあるか。
教育と意識づけ:新人だけじゃない。ベテランにも「え、それ知らなかったの!?」がないように。
報告しやすい雰囲気:異物を見つけたパートさんが「言いづらいから黙っとこう…」とならない職場。
ある工場では、「ラインの途中で異音がしても、止めると怒られるから黙ってた」という“暗黙の了解文化”が根付いていました。
結果として金属片混入が発覚。リコール・謝罪・上司がげっそり…。
“怒られたくない文化”が、“安全第一文化”に勝ってしまった典型例です。
これ、実は小さなことの積み重ねです。
朝礼で「昨日のヒヤリ報告」紹介 → 報告が恥じゃなく“カッコいい”になる
教育で「なぜそのルールがあるのか」背景まで説明 → “守らされてる”から“理解して守る”へ
部門長が現場で手袋つけ忘れを自分で注意される → 「あ、偉い人もちゃんとしてる!」と信頼UP
ポイントは、ルールや文書だけで文化はつくれないってこと。
現場の空気が変わると、人の行動も変わります。
食品安全文化が「食べて大丈夫か」を守るものなら、
品質文化は「おいしい・同じ品質か」を守るもの。
こちらもFSSCでは同時に育てていこう!と言われていて、やはり大事なのは現場でどう習慣になっているか。
“ラインを止めずに調整してごまかす文化”になってないか、要チェックです!
ヒューマンエラーの減少:「言いづらい」→「すぐ報告」が当たり前に
クレーム・事故の防止:「誰かがやる」じゃなく「私がやる」文化へ
監査での高評価:「文化が根付いている=運用できている」と評価されやすい
離職防止や士気向上:信頼できる職場は、長く働きたいと思われます
最初はルールの形だけでもOK。でも、そのルールが語られ、守られ、仲間同士で自然に注意しあえるようになったら、それが文化。
そしてその文化こそが、事故を防ぎ、信頼を築き、品質と安全を支える「見えない仕組み」になります。
FSSCの“文化要求”は、実はとても人間くさい、大事なこと。
今日もあなたの職場に、「それ、誰かがやってくれると思ってた!」がなくなる一歩を。
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